“ワイン投資”に関する記事一覧

グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その17

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその17回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 2012年7月から11月8日までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

“高級ボルドーワイン・インデックス再び下落傾向!”

2011年6月末にピークを付けてた高級ボルドーワイン・インデックスは、2012年7月11日まで約34%の下落。その後は横ばいが続いていたが、ここに来て再び下落基調を強め、昨年にピークを付けて以降の最安値をここ数日間で更新。

 高値から最も値下がり率の大きいのがシャトー・ラフィット・ロートシルト。その中でも最も下落の大きいヴィンテージが2011年に中国系が大きく買い上げた2008年ヴィンテージで、ピーク時の半値以下まで値下がりしている。次が2003年ヴィンテージで約45%の下落、その次が偉大な年と呼ばれる2000年ヴィンテージで約42%の下落。

ラフィットの 2000年~2008年ヴィンテージの平均下落率は約41%。次に平均下落率が大きいのがオーブリオンで約34%。その次がムートン・ロートシルトで約33%。その後にマルゴー、ラトゥールと続く。

 昨年の7月に書いたブログでのエリオット波動理論でのテクニカル分析が、今のところ当たっていると言えるかも知れません。⇒ https://www.stepstep.biz/wine/grandvinesono3

 現在の値動きをエリオット波動理論にあてはめてみると、ピークを付けてから価格が下落している中での値動きの波動は、第一波で大きく値下がり、第二波で横ばいからやや戻り、第三波で第一波の半分ほどの下落、第四波が上の写真にある夏から続いている横ばいからやや戻り、そしてここ数日の間に始まったと推察される下落第五波。

この下落第五波の下落が終了すれば、ひとまず大きな下落は一休み。次の大きな下落トレンドが始まるまで、アップサイドへの戻りを見せるか、横ばいでの動きになるとされている。もし近い将来に高級ボルドーワインを購入したいとお考えの方は、下落第五波の終了レベルが購入のチャンスとなるのかも知れません。

第五波の下落幅の目安は、第三波の下落幅と同程度(第一波の半分程度)とエリオット波動理論では推測され、第一 > 第三 ≒ 第五 の下落パターンとなるようだ。その下値めどは2008年のリーマンショック時に値下がりして付けた安値と同レベルになるとみられる。

 また上昇幅に対するとりあえずの下落幅目標がフィボナッチ数からくる38%、50%、62%とされており、第五波での下落によるリーマンショック時と同レベルは、38%に近い水準となるようだ。

 つまり、エリオット波動理論によれば、ここ数日で始まった第五波での下げが終了すれば、その後はしばらくは高級ボルドー価格の下落は、しばらくお休みの期間となるということでしょうか。

もちろん予測どうりの価格形成になるとは思いませんが、ここで始まった投げ売りと推測される売りが一巡すれば、とりあえず落ち着くということだと思います。

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その16

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその16回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”フィナンシャルタイムズがルクセンブルグの大手ワイン投資ファンドの評価額に疑問!”

2008年より運用を始めたその大手ワイン投資ファンドが保有しているワインの年間のリターンは13%で、1億9百万ユーロに資産評価額は拡大。この好調な運用成績がヨーロッパの投資家からの資金を集めているのだそうだ。

保有するワインは54,000本。そのワインの中のボルドーワインだけでも2千6百万ユーロの価値があるのだとか。また運用を開始して以来、毎月そのワイン投資ファンドは保有ワインの価値が高くなっていると報告している。

これに対しベルギーの金融アナリストは、このワイン投資ファンドの報告は現実がまったく反映されていないとコメント。一般的なワインの評価価格の基準にされている高級ワイン取引所 Liv-ex の価格からファンドの評価価格が大きく乖離しているのです。

例えばシャトー・ラフィット・ロートシルト1996の場合、Liv-exの価格が855ユーロなのに対し、そのファンドの付けた評価価格は1,718ユーロで、倍以上の開きがある。Liv-exはB to Bの取引なのだが、それにしてもファンドの評価価格の設定方法は不可思議。

またボルドーワインが値下がり傾向にある中、ボルドーワインを多く保有するファンドのパフォーマンスが向上し続けていることも不自然と言えます。

ワイン投資ファンドは投資対象となるワインをただ保有し続けるわけではなく、最終的には高値で売り抜けて利益を出すことを目的としています。ワインを保有し続け独自の資産評価基準で資産価値を高め続ければ、将来的には恐ろしい状況に陥るとも想像できるわけです。

 また投資家からの不審を買い解約請求が多く発生した場合には、保有ワインの精算が必要となる可能性もあります。

 ボルドーワインの相場水準は高値から3割ほど値下がりしましたが、まだまだ歴史的には高値の水準にあります。そんな中、ワイン投資ファンドは2005年の後、2009年、2010年と連続した偉大なヴィンテージで、ファンドの運用資金は、目一杯ワインの保有に向けられている様子。

現在の世界経済の状況を考慮すれば、ファンドにとって今の相場水準でワインを売り抜けられればハッピー。かと言って値崩れを起こす様なことは避けたいわけで、ワイン市場は売り手の多い印象の、なんとも頭の重い”危険な香りのワイン市場”と言えそうです。

 

 

 

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その15

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその15回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 2012年4月から9月14日までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

高級ボルドーワイン・インデックスは2011年6月末にピークを付けてから2012年7月11日まで約34%の下落。その後は、夏休みムードが継続しているのか、横ばいからやや戻り気味の展開。

 ボルドーワイン・インデックス価格に大きな影響力を持つラフィット・ロートシルト。そのラフィット・ロートシルトの価格に影響を与えるとされる中国の株価も、政府が発表した景気テコ入れ策を好感して今月の中旬にかけて上昇したが、その後に中国の景気減速を警戒したとみられる売りが広がり、今週に入って約3年8ヵ月ぶりの安値を付けた。

「中国経済の下振れリスクを考慮すれば、当局がそろそろ動きだす!」との見方もあるようだが、日中関係の緊張もあり積極的な買いは入りにくい状況なのだそうだ。

短期的には、なんとも上値の重たい展開が中国の株価にも、グランバン市場にも予想されます。

先日、日経新聞に興味深い記事が掲載されておりました。景気に敏感といわれる銅価格の1900年からの変動は現在、資源価格の上昇基調が続く「スーパーサイクル」に入っているのだそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

米国内の銅価格1900年~2012年

2000年以前の価格の上昇局面は過去100年で3回。最初は1900~20年ころで、欧州に代わる新興国の米国がけん引。次は1950~80年ころ、日本や西ドイツなどの戦後復興が主導。そして今回の主役は中国で、いずれも新しい経済大国が誕生する過程で資源価格の長期的な上昇が起きた。

高度の経済成長では様々な商品への資金流入が起こるため、けん引国の影響はグランヴァン価格も資源価格と同じように影響を受けると考えられます。また、2000年以降の銅価格の値動きはグランヴァンのそれと良く似ております。

「いつまで今回の中国がけん引するスーパーサイクルは続くのか?」に専門家の方々は、「2020年まで今回の中国が主導するスーパーサイクルが続く。」が最長で、「昨年4~6月で当面のピークを越えている」が最短の意見だったようだ。

個々の商品にはそれぞれのファンダメンタルズがあり、水準を切り上げている商品もあるのだと思いますが、グランバン市場に関してはけん引役の中国景気の改善、それもビリオネラーの数がまた大きく増加に転じるような改善とならない限り、グランヴァン価格のスーパーサイクルは昨年の6月にピークを付けたとみるべきではないでしょうか。

世界的な低金利政策での過剰流動性相場の発生で、一時的にグランヴァン価格も上昇する場面があるのかも知れませんが、昨年の勢いある中国の買いほどの猛烈な買いが入るとは考えにくく、更には売りたい人と、買いたい人のバランスが片寄った上値の重さもあり、そうこうしているうちに安値を探る展開となりそうです。

 

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その13

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその13回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

年初から2012年7月6日までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

 高級ボルドーワイン・インデックスは引き続き一方的な右肩下がり。2011年6月末のピークからの下げ幅は33%に達している。

ブルーンバーグの記事によれば、2012年1月~6月の世界五大オークション・ハウスのワイン売上高は、前年同期比で25%の減少だったとのこと。香港での売上が世界最大なのは変化がなく、全売上の47%が香港から。次がニューヨーク、シカゴ、カリフォルニアからなるアメリカで35%、そしてヨーロッパが18%だった。

世界5大オークション・ハウス合計でのこの期間のワイン売上高は1億6千万ドル(約128億円)。関係者はボルドーワインの値下がりが影響しているとしている。ボルドーワインは流通量が多い分、経済情勢に影響されやすいことも手が出しにくい一因とのこと。

 2011年にラフィットをメインとするボルドーワインを、大きく積極的に買い上げた中国のワイン投資家たちは、流通量が多く経済情勢に影響されるボルドーワインよりも、流通量が極端に少ないブルゴーニュやカリフォルニアに注目しているのだそうだ。

 南ヨーロッパでの欧州債務危機はひとまず落ち着きを見せたものの、今後の債務危機は行きつくところまで行くのではないかとの予想も多い。もしそうなった場合、世界中にその影響は波及するわけで、当然ワイン市場にも影響が及ぶことになるわけです。

 今の高級ワイン市場の状況を株式市場に例えれば、大型主力株であるボルドーが下落し続ける中、小型品薄株であるブルゴーニュや他のカルトワインに資金が流れる状況は、正にひと相場の秋を迎えているとみることができるのかも知れません。

 半世紀ほど前の日本の伝説的相場師は「桐一葉落ちて天下の秋を知る」と、その時の相場状況を例えたのだそうですが、現在の高級ワイン市場は「天下の秋で、桐一葉落ちるを知る」といった状況でしょうか。

中国やロシアなどの新興国で、またビリオネラーが増加に向かうような状況になるまでは、グランヴァン市場の本格的な回復はなさそうです。

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グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その12

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその12回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年の年末から2012年6月15日までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

グランヴァン市場は一方的な右肩下がりが継続中で、昨年のピークからの29%の値下がり幅。株やユーロ、ゴールドの横ばいからリバウンド的な動きをよそにグランヴァン市場のみ下落トレンドの中にあります。

 しかし、最近のユーロ地域の混乱を受け、金融やワイン市場に詳しい専門家の中には、「ユーロ地域の崩壊は新たなワインバブルへの引き金となるかもしれない!」との考えを持つ方もおられるのだそうです。

経済学には「グレシャムの法則」と呼ばれる法則があり、「バッド・マネーが投資家にグッド・マネーを求めさせる」のだとか。言い換えれば、「バッド・マネーが通貨のユーロで、グッド・マネーがワインのような資産」となるらしい。

投資対象となるワインはゴールドのような実物資産であって、株や債券などとは直接的な価格の相関関係はない。しかも消費されるため年々同じヴィンテージのワインは減少して行くとのこと。

また、ユーロ地域の状況がワイン価格に及ぼす影響については、既に大量のワインを所有する、主にアジアのワイン投資家が神経質になっているようだ。

大手ワイン投資ファンドのファンド・マネージャーは、このところ増えた主にアジアのワイン投資家からの質問に、「ワイン市場はこの先10年ぐらいの底値にある。我々のような長期投資家にとってユーロ地域の状況がワイン価格に影響を及ぼすとは思えない。」

「我々は偉大なヴィンテージである2005年ヴィンテージと2009年ヴィンテージのワインで大量のポジションを持つが、今の市場に放出して溢れさせるのは何の意味もないことだ。」とのアドバイスをされているとのこと。

2005年、2009年、2010年と偉大なヴィンテージが続き、ワイン投資ファンドは大量の偉大ヴィンテージ・ポジションを保有中。中国を中心としたアジアからの需要がグランヴァン価格を急上昇させた後での需要の激減。

たとえ今後ユーロ地域の状況次第でワインを資産として持つ投資家が増えたとしても、そこでうまく売り抜けようとする動きも増えると想像できるわけです。

ちなみに日本のグランヴァン市場では、基準となる価格から約2割ぐらいのディスカウントで都内のワインショップや酒屋、インターネットショップで値付けされている様子。昨今の急激なグランヴァン価格の上昇と、厳しい日本経済を反映して需要が引っ込んでしまった印象です。

リクイディティに優れているとはいえないグランヴァン市場が、はたして安全な資産運用の場となるのか?また、グランヴァン市場は、単に値上がりと転売だけを目的とした人達の買いが支えていて、この先「劇場のシンドローム」的状況に陥ってしまうようなことになるのか?が市場を読むポイントなのだと思われます。

誰もが感じているのは、グランヴァン価格がまだまだ高過ぎるということでしょうか。

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

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