“2010年”の記事一覧

焼酎販売50年間の推移

酒屋さんのための専門誌「酒販ニュース」さんが創刊50周年の記念特集をだされました。

焼酎の課税数量50年間の推移

焼酎市場の50年間を大きな流れで見た場合、まだまだ数量がピークアウトしたとは言い難く、依然として上昇トレンドの途中にある印象を受けます。他の酒類が大幅な需要減少にある中、焼酎の数量は相対的に堅調に推移しているのです。

焼酎の課税数量のピークは平成16年で、焼酎ブームと騒がれた年でした。その年から平成21年まで約4%の減少ですから、ほぼ横ばいです。

焼酎市場の拡大でも、大手ビールメーカーほどではありませんが「二階堂」さん「雲海」さん「白波」さん「いいちこ」さん「霧島」さんと焼酎業の大手が誕生し、本格焼酎市場をリードしてきました。

本格焼酎が市場拡大に成功した理由でよくいわれているのが、市場を飽和状態にする事なく、常に需給調整を行っていた事。常に腹八分目の状態で需要をカバーして来たのです。

酒類の流通を理解し、投げ売りや値下げ競争が起きないようにして本格焼酎の価値を保ったのです。この需給調整による販売戦略は現在でも広く焼酎業界で行われています。「これは焼酎業界が清酒業界の失敗から学んだのだ!」といった意見もあります。

また、この市場拡大の過程で、本格焼酎が健康に良い影響を与える事や、有名人が芋焼酎を好んでいるなどのプラス要因が加わった事も支援材料となりました。

焼酎にはもう一つの、現在では4Lなどの大容量が中心となっている焼酎甲類があります。こちらも昭和56年頃から急拡大し、チューハイやサワーといった新しい飲み方が飲食店を中心にブームとなったのです。

その後、大手酒造メーカーさんがこぞってスタイリッシュな業務用ボトルを発売しました。しかし現在では、ほぼ韓国焼酎のジンロさんの一人勝ち!他の甲類は徐々に大容量へと人気が移って行き、4Lペットの大容量が宝焼酎さんを筆頭に主力商品となっています。

大容量甲類焼酎の問題は価格競争が止まらないこと。大手メーカーは取引正常化に動くのですが、販売数量の落ち込みに耐え切れず、再び条件が出ることが繰り返されてきました。この傾向は主力市場である首都圏よりも地方でより激しいようです。特に北海道で価格競争が激しいのは、酒業界では有名な話なのです。

現在、焼酎の酒類に占める割合は約10%です。清酒の課税数量がピークの時には約30%を酒類の中で占めていました。それと比べると現在の約10%は、まだまだ少ない気がします。

酒を飲む集まりがあれば、必ず焼酎を飲む時代です。酒類の中での占有率が30%まで上昇するとは思えませんが、20%ぐらいになっても不思議ではありません。現在の芋焼酎ブーム後遺症ともいえる状況の整理が進めば、更なる伸びが期待できる様な気がします。

ちなみに酒類専門家の方は、「焼酎の成長神話は終わった!」と何故かいつも焼酎の先行きには悲観的なんです!なんででしょ!?(汗)

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清酒販売50年間の推移

酒屋さんのための専門誌「酒販ニュース」さんが創刊50周年の記念特集をだされました。

清酒の課税数量50年間の推移

大変に困った事に、清酒出荷量の低迷が止まりません。

ピークの昭和48年には176万6310KLあった清酒課税数量ですが、平成21年には63万3903KLまで減少してしまいました。36年間の間に6割強減少したことになります。酒類全体に占めるシェアもピーク時には30%ほどあったのですが、これも7%まで減少してしまいました。

平成21年度の清酒の課税数量水準は、なんと50年前の昭和35年と同水準。大変に凄まじい清酒離れが起こっている事が分かります。

この主な原因は嗜好品である清酒市場で、大手清酒メーカーが競って「安かろう、悪かろう」のパック酒の販売競争を繰り広げたためとの意見もあります。しかし、清酒がまだこの課税数量の水準にあるのはパック酒が貢献しているから、とも言えなくもありません。大手メーカーのパック酒の構成比は上昇傾向にあります。

清酒の課税数量が特に大きく減少し始めたのは、大手清酒メーカーが集中している地域で起きた平成7年の「阪神淡路大震災」の年から。震災により更なる借入などが発生し、より売上を求めてパック酒の販売合戦が激化したとも推測できます。

清酒市場にはもう一つの流れがありました。「地酒市場」です。地酒専門の問屋が誕生し、地方の地酒に特化した酒屋である「地酒屋」を組織しました。また、「越乃寒梅」や「久保田」などを筆頭に、酒の小売店と直接取引を行い差別化する蔵も出て来たのです。

「おまえんとこの隣のお店には絶対に卸さないでやるから、おまえんとこの店じゃ、沢山売ってくんなダメだからね!!」みたいな感じでしょうか(笑)!売れ続ければ良かったんですけどね~!(汗)コミットメントがね~!キツイんですよね~!!(涙)

その後、いわゆる幻の銘柄が登場しては消えて行ったのだそうです。今でも幻の有名銘柄は幾つかありますが、有名料亭さんに扱ってもらい、人気雑誌の「ダンチュウ」などで記事にしてもらう等の、いわゆる地酒グループさんの差別化販売戦略も段々と影響力は低下して来ていると聞いています。

今年のGW時には、昨年のGW時に比べ、酒屋の店頭で清酒を買い求める方が増えた感じがします。ひょっとしたら、これが底打ちの「コツン!」って音なのかも知れません。少数とはいえファンは必ず存在するのです。今後は清酒もどちらかと言えばマニアの酒として、いかにファンを増やすかが重要なようです。それと、何と言っても清酒には海外に強烈にデッカイ市場が存在する事を、意識しないといけないのかもしれませんね!

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ビール販売50年間の推移

酒屋さんのための専門誌「酒販ニュース」さんが創刊50周年の記念特集をだされました。

ビール課税数量50年間の推移

酒類全体ではピーク時から10%程度の減少ですが、酒類の中で最もボリュームの大きいビール(発泡酒とか第三のビールじゃない税法上のビール)の減少は予想以上です。

ビール消費のピークは平成6年で、酒類全体に占めるビールの割合は7割を超えていました。その平成6年から発泡酒の登場と共にビールの消費はブラック・マンデーなみの暴落、減少となっているんですよ(涙)!ピークからの減少幅は約6割で昭和46年頃と同水準にまでなっちゃってます!!ヒドイ(汗)!

日本のビール50年間の歴史は、日本の大手ビールメーカー4社の歴史です。戦後、現サッポロ・ビールさんと現アサヒ・ビールさんが分割りとなり、そんな中、全国への流通網を持っていた現キリン・ビールさんがグングンとシェアを伸ばしました。そして昭和58年にはシェア63.8%となり、最高シェアを達成したのでした。戦後の生活が豊かになるのに伴い家飲みでの需要増を受けてキリン・ビールはシェアを伸ばして来たのです。

その後はアサヒ・ビールさんが低迷した業績の復活に向けて開発された、昭和62年発売のアサヒ・スーパードライが大大ヒットとなりました。そして平成9年には遂にキリン・ラガーを抜いてナンバーワンのシェアになったんです。アサヒ・ビールさんの活躍は、まだ記憶に新しい出来事ですね。TVのCMに落合信彦さんが出てて、とってもカッコよく見えました!

平成6年にはサントリーさんが初めて「発泡酒を」発売し、その後各社が追随。平成15年にはサッポロさんが麦芽も麦も使わない「第三のビール」と呼ばれるようになる、「発泡酒」よりも更に安い新分野のビール系飲料を発売しました。これらの出来事に経済不況などが加わり、ビールの数量はピークから約6割の減少。酒類に占めるビールの割合も3割~4割にまで減少しまったのです。

50年間のビール業界第一幕は「キリン・ラガーの一人勝ち」。第二幕は「アサヒ・スーパードライの大ヒット」。第三幕は「大ヒットがないまま、各社「第三のビール」でのシングル・ヒットの打ち合い」といったところでしょうか!

ホッピーブームも到来しており、今後のビール・テイスト飲料業界、益々波乱がありそうです。それにしても、ほぼビールの製造販売だけで大手ビールメーカーはここまで大きくなったのですから、スゴイ産業です!

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酒類販売50年間の推移

酒屋さんのための専門誌「酒販ニュース」さんが創刊50周年の記念特集をだされました。

酒類課税数量(全酒類合計)50年間の推移のグラフ表示です。

驚いた事にピークの平成6年~平成13年辺りの水準からまだ10%ぐらいしか減少していません。酒類ごとの推移では昭和30年代のレベルまで落ち込んでいるものもある中、大手ビールメーカーの努力や本格焼酎の人気なのか、はたまた世の中の経済状況が悪化しても、酒類への消費金額が減ってるだけで飲む量は減らないためか、意外に堅調なのです!

このピークから約10%減少のレベルは、日本のバブルのピークである平成2年とほぼ同水準!「世の中景気が悪過ぎ!」とか「若い人が酒を飲まない!」とか言ってるわりに、そんなに飲んでんの!皆さん!?って感じでしょうか(笑)。

大手ビールメーカーの努力は「発泡酒」や「第三のビール」などの販売競争。ビール業界はキリンさんの一人勝ち時代や、アサヒさんのアサヒ・スーパードライの大ヒット時代を経て「第三のビール」のシェア争い時代へ突入しているようです。

もうひとつの頑張っている酒類が「焼酎」。出費を抑えて同じ量の酒を飲もうと思えば選択は「第三のビール」か「焼酎」、もしくは両方です。ほとんどの人にとって、自宅で本物の「ビール」や「ワイン」「日本酒」「ウイスキー」を飲まなくても「第三のビール」と「焼酎」で十分ハッピーなのです!「焼酎」にもいろいろあって、価格も驚くほど高いのは一部だけですからね。

結局、お酒は酔うために飲むのですが、どんな味わいで酔うかってのが重要です。最近の「第三のビール」や「焼酎」は味わいがある程度以上には十分達しているのです。飲みつけちゃえば、それが自分好みの味になっちゃうし、もービール飲む必要もなくなっちゃうんですよね!

毎日一本の缶ビールを飲む習慣があったら、それが第三のビールに替わる事はあっても、2日に一本にはならないんですよね~!そんでもって景気が良くなっても、もうビールには戻りそうもありませんが(涙)!

酒類業界の50年間を読んで分かった事は、誰も将来の酒類業界を正しく予想して行動出来なかった事!!現在、日本の酒類業界の将来を予想してもらうと8割以上の方々が超悲観論者となるでしょう!日本の酒類業界、特に酒屋さんがこの先に「人の行く裏に道あり花の山」となりますかどうか(汗)!?

各酒類ごとの50年間の推移も、このブログで次回よりご紹介して行きたいと思います。

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オーストラリアワインに変化!大量生産からブランド力強化へ!!

オーストラリアワイン産業が重大な岐路に立っている!

 

今、オーストラリアのワイン業界に大きな変化が起きようとしています。ちょっと前まで、ブドウ栽培やワイン生産はオーストラリア人にとってあこがれの仕事のだったのですが、今では相当厳しい構造改革に迫られているようです。

1980年代から1990年代はオーストラリアワイン産業にとって長く安定した時代でした。その後1990年代末から2004年にかけて栽培面積は急拡大し、ワイン生産量は飛躍的な成長となりました。しかし一転、度重なる干ばつや景気後退によるぶどう価格の下落により、今までの拡大路線からの方向転換が必要となっているのです。

オーストラリアでのブドウ栽培には多くの場所で水の確保が必要で、灌漑(かんがい)用水を利用する畑が多いんです。最近の干ばつは水に問題を持つオーストラリアの川の水量や貯水量の減少をさらに悪化させており、政府は水の産業別割り当ての管理を今まで以上に厳しくしています。それにより灌漑用水のコストは高騰しいるのだそうです。

もう一つの悲劇は、ぶどうの生産コストが上昇しているにもかかわらず、2008年からの世界景気の後退でブドウ価格が下落していること。これが過剰生産、過剰在庫に拍車をかけているのだとか。多くのブドウ栽培農家は採算が取れなくなっており、ブドウが収穫される事なく放置されている畑も多いらしいのです。

そこで、ワイン生産者やブドウ栽培者の団体は昨年末に会合を開き、オーストラリアワイン産業再構築のための達成課題を作成したのです。それは今後数年の内にブドウ栽培面積の20%を削減することと、成長性のない地域でブドウを栽培しないことです。これにより、過剰なワイン在庫から解放されるのですが、同時にオーストラリアワイン産業が20年かけて築いてきた、果実味が豊かで安いワインを大量に供給するという、今までの商売方法が難しくなってしまったのです。

大手オーストラリアワイン生産者は、ワインの大幅な売り上げの減少と生産構造の変化を受け、不振ブランドの廃止やブドウ畑の売却などの合理化を進めているようです。その他、ワイナリー同士の合弁なども進み、安定した利益を確保するため新たな戦略を描き動き始めています。

今後のオーストラリアワイン産業界の注目される新しい流れは、地域性などの特徴をより協調して行くこと。中でもタスマニアなどの冷涼地域でのワイン生産が注目されているらしいのです。冷涼地域のワインは、エレガントで低いアルコール度数が特徴。日本市場で受けが良い味わい。もうひとつの注目点は、世界的な流れであるバイオダイナミック農法や自然酵母による発酵などの自然派ワインへの造りの変化。

今後、オーストラリアワインは、より日本人好みになって行きそうです。オーストラリアワイン業界は生産の拡大から安定期に入り、ワインの質が今まで以上に問われる時代に入りました。今までの「価格は安くても果実味のしっかりとしたワイン!」というだけではなく、それを兼ね備えながら、バラエティー豊かで上質なワインが生産されそうです。今後のオーストラリアワインに期待しましょう!

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