グランヴァン市場はオランダのチュウリップになるのか?その4

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで、2011年までに約20倍まで高騰。はたして今、グランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えております。今回はその4回目。

 大ざっぱに見れば価格の値動きが似ていたゴールド価格とグランヴァン価格ですが、7月初旬を境にそれぞれの価格は逆行傾向を強めている。ゴールド価格は急上昇、グランヴァン価格は下落。

何でも最近の金融市場の不安定さと、今後も続く低金利政策を反映して安全資産としてゴールドが買われているのだそうだ。中国やインドなどではゴールドに対して根強い人気があり、価格が下がればそこを狙っての買いが待っているらしい。

一方、インフレヘッジでの資産ポートフォリオも含め、中国系からの熱狂的なボルドーワイン人気を受けて価格上昇を続けてきたグランヴァン市場は、中国国内での偽造ワイン問題や、高過ぎるワイン価格に対する警戒感からか、このところ様子が変わってきたようだ。ゴールドと違い安全資産とは考えにくいのも一つの理由でしょうか。

昨年、中国系に大人気だった高級ボルドーワインの代表的存在のシャトー・ラフィット・ロートシルトの2008年ヴィンテージは、昨年から26%の下落。ボルドーワインのインデックスとしてはピークから5%下落している。

 しかし中国市場に詳しいワイン関係者は、ラフィットのような売れ筋高級ワインの需要や価格がそうは下がるとは思えないと言います。これは中国の習慣と、中国人の面子を大事にする文化が関係しているとのこと。商売相手や政府高官への贈り物や、接待での飲み物では、ラフィットのような誰でも知っている高級ワインでないと面子を失うことになるのだそうだ。

例えば、商売相手や政府高官にペンフォールドのグランジやハーラン・エステートのワインを贈ったり、接待で使ったりしても面子を失ってしまう可能性が高いとのこと。それらのワインは大変に素晴らしい評価の高いワインだが、中国ではほとんど知られていないためだ。

中国市場では多くの高級ワインが売れているわけではなく、ボルドーワイン格付けピラミッドの、本当にトップのワインのみが人気で、後は中国でのワイン需要を当て込んだイギリスや香港でのワイン投機需要が今までの上昇相場をつくってきたとも言えるらしい。しかしほとんどのワイン投機家は中国にいるわけではなく、現場で市場を見ているわけではないため、彼らの思惑どうりの市場とはなっていないようだ。

今後、中国での需要にそぐわない、投機買いされた高級ワインの安売り合戦が始まる可能性もありそうですね。

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