居酒屋の空間は聖地!

日本の居酒屋文化を研究されている方らしいのですが、マイク・モラスキー大学教授による「居酒屋の魅力」の記事が日本経済新聞に掲載されておりました。酒文化にかかわる者として大変に興味深く読ませていただいた次第です。

「・・・・・居酒屋は、私も含めて特に都会に住む人にとって切実な場所なんですよ・・・」と。日本人でも知っている人はそう多くはないかも知れませんが、イギリスにパブの文化があるように、日本にも素晴らしい居酒屋の文化があるんですね。

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なぜ居酒屋が切実な場所なのかと言えば・・・・・

「例えば東京にいると、関係がない人と会話を交わすのはゼロです。通勤に1時間半かかっても、途中で誰とも口をきかない。一方、家や職場では与えられた責任があって、その責任を果たさずにいることは許されない。ところが、家でも職場でもない第三者の場は違う」

「周りに迷惑をかけず雰囲気を壊さなければ、一人の個人として迎えてくれる。下っ端だったらその開放感は分かりやすいけれど、会社で常にへこへこされている地位の高い人も、個人に帰って自己確認ができる」

「顔見知りになれば、仕事も名前もわからないまま互いにヒエラルキーから自由になって言葉を交わしたりする。それが何気ない会話であっても、すごく大切な社会的役割があると思います」と。

都心に暮らす人達にとって、居酒屋はまるでオアシスの役割を果たしているようですね。しかし、テーマパークにでも行ったような気分で、その独特な空間を壊してしまうような利用法は良くないのだそうだ。

・・・「いい居酒屋にはカウンターの内側の人とそれを取り囲む常連客がつくる空間がある。常連客がいるおかげで店全体が落ち着いてくるんです・・・・・・・・常連客にとって居酒屋は聖地です。初めてなら、お邪魔しますという配慮を見せるのは倫理観の問題だと思う・・・・」と。

要するに大騒ぎしたり、周りの人や店の人への配慮に欠けるようなことをしたり、ず~っとケータイとにらめっこしっぱなしだったりといった 野暮 なことをしないのが、居酒屋での 江戸しぐさ ならぬ 居酒屋しぐさ なんですね。

いい感じの居酒屋さんを見つけたら「ひとりですけどよろしいですか」と声をかけて、お邪魔しますという配慮を持って入店してみれば、人生はより豊かになるのかも知れません。

居酒屋さんの社会的役割は、今後より大切になるような気さえします。特に都会では。

また、ロンドンの街を感じの良いパブが飾ったり、パリの街を感じの良いカフェが飾るように、日本らしい居酒屋は日本の都心をより感じ良くしているのかも知れないと感じた次第です。

 

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