グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その18

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその18回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

1999年から2012年12月までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

2012年の高級ボルドーワイン価格は、1年を通して下落傾向で推移しました。

年初にはワイン、ゴールド、原油、株式市場と、ほぼ全ての市場が上昇に転じましたが長くは続きませんでした。3月に入るとそれらの価格は一転して調整ムードへと変化したのです。

その後、欧州債務危機や中国の経済成長の鈍化などの影響を受け値下がり傾向は続きました。ワイン市場ではワイン投資会社の倒産や、偽造ワインの流通なども価格下落に拍車をかけました。

ワインのオークションは売上高が減少、非常に希少価値の高いワイン以外は盛り上がりに欠ける状況でした。

夏以降はほぼ横ばいで推移。秋ごろにはダウンサイドへのトライも見られましたが、それも一次的で長続きしませんでした。11月に入ると中国新政権に対する期待感からか、ボルドーワインと価格の値動きが似ているとされる中国株の上昇と同調するようにボルドーワイン価格も上昇し、夏場から続く横ばいの水準まで値を戻したのでした。

 この上昇では高級ボルドーワインのオフ・ヴィンテージが主に買われた模様。

近年の高級ボルドーワイン価格の大幅な上昇をけん引した主導者は、金属や穀物などのコモディティと同じく中国と考えられます。今後また大きく高級ボルドーワイン価格が上昇するとすれば、中国の急激な景気回復でビリオネラーと呼ばれるような富裕層の数が大きく増加するような状況が訪れること意外にはないような気がします。

今までの富裕層による資産運用でのリスクヘッジでポートフォリオの一部としてワインを保有するとしても、ワイン相場がピークを付けた時に中国系が2008年ヴィンテージを買い上げたようなバイイングパワーには達しないとも想像されます。

 現在の中国系のワインの買い方は、メインの高級ボルドーワインではなく、供給量が少なく希少価値の高い右岸のボルドーやブルゴーニュ、イタリア、シャンパーニュ、カリフォルニアなどに移行しているとのこと。

また中国の新政権は、腐敗のイメージを拭い去るために酒離れの方向に動いている様子。政府関係でのワインの消費量は減少すると予想されます。

ちなみに中国人アーティストの描いたラベルを採用して話題となったムートン・ロスチャイルド2008は、2010年の12月にB to Bの取引で1ケース(12本)8,300ポンドで取引されていたが、このところは大きく値を下げ3,100ポンドと半値以下に値下がり。製品化される前の先物取引であるアン・プリムールで買い付けて製品をを引きとった業者やファンド、コレクター、投機家は全て大損か大きな含み損になっていることになります。

 近年の評価の高いヴィンテージ続きでワインファンドの資金とワインの比率は大きくワインに傾いていることも上値を重くしている一因と考えられます。

一般的には高級ワイン価格に関する悲観論は利害関係もあり書かれることがありませんが、高級ボルドーワイン価格の先行きに楽観視は禁物と考えます。

 

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