グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその13回目。
年初から2012年7月6日までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。
高級ボルドーワイン・インデックスは引き続き一方的な右肩下がり。2011年6月末のピークからの下げ幅は33%に達している。
ブルーンバーグの記事によれば、2012年1月~6月の世界五大オークション・ハウスのワイン売上高は、前年同期比で25%の減少だったとのこと。香港での売上が世界最大なのは変化がなく、全売上の47%が香港から。次がニューヨーク、シカゴ、カリフォルニアからなるアメリカで35%、そしてヨーロッパが18%だった。
世界5大オークション・ハウス合計でのこの期間のワイン売上高は1億6千万ドル(約128億円)。関係者はボルドーワインの値下がりが影響しているとしている。ボルドーワインは流通量が多い分、経済情勢に影響されやすいことも手が出しにくい一因とのこと。
2011年にラフィットをメインとするボルドーワインを、大きく積極的に買い上げた中国のワイン投資家たちは、流通量が多く経済情勢に影響されるボルドーワインよりも、流通量が極端に少ないブルゴーニュやカリフォルニアに注目しているのだそうだ。
南ヨーロッパでの欧州債務危機はひとまず落ち着きを見せたものの、今後の債務危機は行きつくところまで行くのではないかとの予想も多い。もしそうなった場合、世界中にその影響は波及するわけで、当然ワイン市場にも影響が及ぶことになるわけです。
今の高級ワイン市場の状況を株式市場に例えれば、大型主力株であるボルドーが下落し続ける中、小型品薄株であるブルゴーニュや他のカルトワインに資金が流れる状況は、正にひと相場の秋を迎えているとみることができるのかも知れません。
半世紀ほど前の日本の伝説的相場師は「桐一葉落ちて天下の秋を知る」と、その時の相場状況を例えたのだそうですが、現在の高級ワイン市場は「天下の秋で、桐一葉落ちるを知る」といった状況でしょうか。
中国やロシアなどの新興国で、またビリオネラーが増加に向かうような状況になるまでは、グランヴァン市場の本格的な回復はなさそうです。
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