フィギュアスケートを見ていて感じるのは、パーフェクトな演技のハイスコアと、スコア的にはいまいちだが、芸術性に優れた演技があるような気が素人目に感じます。
たとえが良くないかも知れませんが、プレムアムクラスのカリフォルニア・ワインといえば、その前者のようなパーフェクト過ぎる味わいをイメージしておりました。
それが、ソノマのナイツ・ヴァレーにあるヘレナ・ダコタ・ヴィンヤードの、カベルネ・ソーヴィニョン100%で造る「アナコタ2003」を試飲して、驚いたと同時にそんな思い込みは吹っ飛んだ次第です。
見事に芸術的な繊細さのある、素晴らしいワインでした。
【ヘレナ・ダコタ・ヴィンヤーズ アナコタ2003】
ソノマ産アイコンワインのひとつ「ヴェルテ」の最高醸造責任者を務めるフランス人醸造家、奇才ピエール・セイヤン氏が、さらなるソノマの可能性を体現化させたのが、この「アナコタ」なのだそうです。
数百年前の噴火で堆積した火山岩が母岩となって残るユニークな地質環境を持つナイツ・ヴェレーの、異なる標高差、傾斜度、気候環境、そして岩の多い土壌環境を持つ畑から生み出されるのだとか。
この特別な区画がセイヤン氏の目指すテロワールワインを描き出すとのこと。
以前、カリフォルニアを代表するワイン生産者の方から、ブドウの収穫は実だけでなく種や茎もしっかりと熟した、完全な完熟を待って行うと聞いたことがあります。
また、完熟ブドウから造られるのがカリフォルニアワインだと思っておりましたから、味わいも当然そんな完熟した味わいをイメージしておりました。
しかし、この「アナコタ」は早摘み。他の畑よりも早く収穫を行い、完熟させないのです。つまりは、早摘みによる繊細さを狙った収穫なのですね。
そのためか、この「アナコタ」は非情にエレガントで繊細。パワフルさもあり、官能的であり、まったくもって芸術的。試飲した人ほぼ全員が、その見事さに驚いておりました。
また、2003年ヴィンテージが飲みごろに達しているということでもあるようです。
2011年ヴィンテージもその後に試飲させていただきましたが、まったく違った印象。まだまだ若すぎてもったいない感じでしょうか。
2003年ヴィンテージが素晴らしいのか、それとも若いヴィンテージでも熟成させるとそうなるのか、難しいところですが、驚きの見事なワインだと感じた次第です。
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