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グランヴァン(ほとんどボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その29

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたして「グランヴァン市場はバブルなのか?」もしそうなら、「今後そのバブルは崩壊するのか?」を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその29回目。

古ワインnov13

 

 

 

 

 

 

 

【グランヴァン(ほとんどボルドー)ワイン・インデックスの2008年12月から2013年11月末までの推移】

2011年6月28日にピークを付けたインデックス価格は、デイリーベースで2012年11月13日まで約34%下落。その後反発して3月15日に安値から約12%高い水準まで値を戻した。

それ以降はダラダラとなだらかな下げが続き、3月15日の戻り高値から先月の11月末までに約9%の値下がり。10月末からは約2%低い水準。今年3月から続いているなだらかな下落傾向は継続している。

ボルドーを避け、他の地域のハイエンド・ワインへ移行する動きも続いている。流通量の大きいボルドーワインが軟調な影響を受けインデックス・ベースでの軟調な推移も継続しそうだ。

 業者間での高級ワイン取引サイト「Liv-ex」のレポートによれば、11月はボルドーのいわゆる当たり年の値下がりが大きく、その一方、シャンパーニュやブルゴーニュが買われた。

クリュッグ1996が10月の平均値£2,440(ケース)⇒11月平均値£2,625と7.6%の上昇。アルマン・ルソー・シャンベルタン・GC・クロ・ド・ベース2009が£8,862⇒£9,494と7.1%の上昇。

一方、ミッション・オー・ブリオン2009は£4,817⇒£4,234と12.1%の下落、ラトール2005が£7,050⇒£6,573と6.8%の下落となった。

また、先月行われた香港でのワイン・オークションではロマネ・コンティー1978が、世界最高値の1ケース$474,000で落札されたのだそうだ。(オークションの場合にはこの価格にバイアーズプレミアムと呼ばれる手数料が2割ほど加算される)

 中国系の富裕ワイン愛好家はボルドー以外の、より希少価値の高いワインを求める傾向にあるのかも知れません。

しかし、中国では習近平国家主席による「倹約令」の影響でラフィットと同じく高額の酒として人気のあった白酒の需要が急減しているとのことで、販売会社の赤字が急拡大しているとのこと。

ほとんど中国国内だけで流通する白酒は、完全にバブルが崩壊し、オランダのチューリップとなってしまったようです。

また、ロンドンのワイン投資会社の閉鎖もあり、グランヴァン市場全体のセンチメントは引き続きベアームード。

香港でのワイン・オークションの成功、米国や日本での株式市場の活況で、ワイン市場のなだらかな下落傾向に一時的な歯止めがかかる可能性はありますが、頭の重い市場環境に変化はなさそうです。

オランダのチューリップでも本当に希少価値の高いものは高値水準を維持したようです。しかしそうでないチューリップの球根は、本来の球根としての価値、もしくはそれ以下の水準に値を戻したと聞きます。

 「グランヴァン(ほとんどボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?」はこれからが本番なのかも知れません。

 

 

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グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その18

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその18回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

1999年から2012年12月までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

2012年の高級ボルドーワイン価格は、1年を通して下落傾向で推移しました。

年初にはワイン、ゴールド、原油、株式市場と、ほぼ全ての市場が上昇に転じましたが長くは続きませんでした。3月に入るとそれらの価格は一転して調整ムードへと変化したのです。

その後、欧州債務危機や中国の経済成長の鈍化などの影響を受け値下がり傾向は続きました。ワイン市場ではワイン投資会社の倒産や、偽造ワインの流通なども価格下落に拍車をかけました。

ワインのオークションは売上高が減少、非常に希少価値の高いワイン以外は盛り上がりに欠ける状況でした。

夏以降はほぼ横ばいで推移。秋ごろにはダウンサイドへのトライも見られましたが、それも一次的で長続きしませんでした。11月に入ると中国新政権に対する期待感からか、ボルドーワインと価格の値動きが似ているとされる中国株の上昇と同調するようにボルドーワイン価格も上昇し、夏場から続く横ばいの水準まで値を戻したのでした。

 この上昇では高級ボルドーワインのオフ・ヴィンテージが主に買われた模様。

近年の高級ボルドーワイン価格の大幅な上昇をけん引した主導者は、金属や穀物などのコモディティと同じく中国と考えられます。今後また大きく高級ボルドーワイン価格が上昇するとすれば、中国の急激な景気回復でビリオネラーと呼ばれるような富裕層の数が大きく増加するような状況が訪れること意外にはないような気がします。

今までの富裕層による資産運用でのリスクヘッジでポートフォリオの一部としてワインを保有するとしても、ワイン相場がピークを付けた時に中国系が2008年ヴィンテージを買い上げたようなバイイングパワーには達しないとも想像されます。

 現在の中国系のワインの買い方は、メインの高級ボルドーワインではなく、供給量が少なく希少価値の高い右岸のボルドーやブルゴーニュ、イタリア、シャンパーニュ、カリフォルニアなどに移行しているとのこと。

また中国の新政権は、腐敗のイメージを拭い去るために酒離れの方向に動いている様子。政府関係でのワインの消費量は減少すると予想されます。

ちなみに中国人アーティストの描いたラベルを採用して話題となったムートン・ロスチャイルド2008は、2010年の12月にB to Bの取引で1ケース(12本)8,300ポンドで取引されていたが、このところは大きく値を下げ3,100ポンドと半値以下に値下がり。製品化される前の先物取引であるアン・プリムールで買い付けて製品をを引きとった業者やファンド、コレクター、投機家は全て大損か大きな含み損になっていることになります。

 近年の評価の高いヴィンテージ続きでワインファンドの資金とワインの比率は大きくワインに傾いていることも上値を重くしている一因と考えられます。

一般的には高級ワイン価格に関する悲観論は利害関係もあり書かれることがありませんが、高級ボルドーワイン価格の先行きに楽観視は禁物と考えます。

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その16

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその16回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”フィナンシャルタイムズがルクセンブルグの大手ワイン投資ファンドの評価額に疑問!”

2008年より運用を始めたその大手ワイン投資ファンドが保有しているワインの年間のリターンは13%で、1億9百万ユーロに資産評価額は拡大。この好調な運用成績がヨーロッパの投資家からの資金を集めているのだそうだ。

保有するワインは54,000本。そのワインの中のボルドーワインだけでも2千6百万ユーロの価値があるのだとか。また運用を開始して以来、毎月そのワイン投資ファンドは保有ワインの価値が高くなっていると報告している。

これに対しベルギーの金融アナリストは、このワイン投資ファンドの報告は現実がまったく反映されていないとコメント。一般的なワインの評価価格の基準にされている高級ワイン取引所 Liv-ex の価格からファンドの評価価格が大きく乖離しているのです。

例えばシャトー・ラフィット・ロートシルト1996の場合、Liv-exの価格が855ユーロなのに対し、そのファンドの付けた評価価格は1,718ユーロで、倍以上の開きがある。Liv-exはB to Bの取引なのだが、それにしてもファンドの評価価格の設定方法は不可思議。

またボルドーワインが値下がり傾向にある中、ボルドーワインを多く保有するファンドのパフォーマンスが向上し続けていることも不自然と言えます。

ワイン投資ファンドは投資対象となるワインをただ保有し続けるわけではなく、最終的には高値で売り抜けて利益を出すことを目的としています。ワインを保有し続け独自の資産評価基準で資産価値を高め続ければ、将来的には恐ろしい状況に陥るとも想像できるわけです。

 また投資家からの不審を買い解約請求が多く発生した場合には、保有ワインの精算が必要となる可能性もあります。

 ボルドーワインの相場水準は高値から3割ほど値下がりしましたが、まだまだ歴史的には高値の水準にあります。そんな中、ワイン投資ファンドは2005年の後、2009年、2010年と連続した偉大なヴィンテージで、ファンドの運用資金は、目一杯ワインの保有に向けられている様子。

現在の世界経済の状況を考慮すれば、ファンドにとって今の相場水準でワインを売り抜けられればハッピー。かと言って値崩れを起こす様なことは避けたいわけで、ワイン市場は売り手の多い印象の、なんとも頭の重い”危険な香りのワイン市場”と言えそうです。

 

 

 

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

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