“アンプリムール”に関する記事一覧

「高級ワイン市況」先物よりもバック・ヴィンテージ

 

 

中華系が主導したボルドーワイン・バブルによる2011年6月のピークから3年。

2014年7月に底打ちしたとみられるボルドーワインをメインとする高級ワイン市場は、はたしてボルドーワイン・バブル崩壊の負の影響を払拭したのか。

また、世界の主要国の株高による富裕層の増加にともない、ワイン収集やワイン投資などの人気は再び盛り上がるのか。

そんな高級ワイン取引の状況を、酒屋のオヤジなりに推察してみたいと思います。

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【高級ワイン・インデックスの2010年5月から2015年5月末までの推移】

高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、5月末の時点で242と4月末から変わらず。

最も注目されていたボルドーワイン2014ヴィンテージのアン・プリムールからの影響は、ほとんどなかった。

2005、2012ヴィンテージのボルドーがやや値上がりしたことにより、2014年ヴィンテージの取引状況の割には堅調に推移している印象。

ロバート・パーカー氏による、10年経過した2005年ヴィンテージと、瓶詰された2012年ヴィンテージの再評価による上方修正への期待から、それらのヴィンテージのボルドーが買われているとのこと。

 

Liv-exでのボルドー2104ヴィンテージの取引は、ほとんどない。

ロバート・パーカー氏が指摘したように、真に偉大なヴィンテージ以外での、アン・プリムールのシステムはもう機能しないのかも知れない。

ワイン・コレクターにとっては、ほどほどに出来の良いヴィンテージを、際立って魅力的ではない価格で、先物契約で購入する気にはなれないようだ。

ボルドーのワイン商にしても、最近のヴィンテージの過剰在庫を抱えており、顧客の要望なしに積極的に購入することはない。

ワイン投資家にとっても、2009~2011年ヴィンテージの値下がりによる評価損を抱えており、際立って魅力的ではない価格での2014年ヴィンテージは買いにくい。

Liv-exのブログレポートによれば、今回のアン・プリムールで、シャトーからの出値が2013年ヴィンテージのリリースよりも安かったのは全体の19%。最も出値を下げたのがラフィット・グループのシャトー・デュアール・ミロンで12.5%安い水準の出値。

2013年と同じ出値のシャトーは全体の17%。そして、2013年よりも出値を高くしたのが全体の64%だった。

また、今回のアン・プリムールの基準と考えられていた、2008ヴィンテージの現在価格よりも高い出値のシャトーは36%。

あるワイン投資ファンドは、むしろバック・ヴィンテージの真のバリューに魅力を感じているとのことで、例えば2006年ヴィンテージの特にポムロールや、2008年ヴィンテージに投資対象としての可能性を感じているようだ。

世界的な金余りにより、非常に希少価値のあるワインや、魅力を感じる水準には強い需要がある。しかし、かといって高値を追うような市場のセンチメントではないようにみられる。

しばらくは、横ばいからやや堅調といったところか。

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

グランヴァン(ほとんどボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その44

 

 

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格は、ブラックマンデーすぐ後の1988年からインデックス・ベースで2011年6月まで約20倍に高騰。

ピーク時にはシャトー・ラフィット・ロートシルト2008ヴィンテージのボトルに、当時最大の販売先であった中国の繁栄の意味「八」を刻むとのニュースが伝わったことから、ラフィット2008が大きく買われ、グランヴァン市場の価格を一気に押し上げて相場のピークを形成。

その後は中国でのバブルの縮小と歩調を合わせるようにボルドーワインは値を下げ続けた。

中国が主導したボルドーワイン・バブルは2011年6月をピークに崩壊した。

今後は、「はたしてグランヴァン市場はバブル崩壊を乗り越えたのか?」みたいなことを酒屋のオヤジなりに推察したいと思います。今回はその44回目。

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【グランヴァン(ほとんどボルドー)・インデックスの2010年2月から2015年2月末までの推移】

2月のワイン・インデックスは、中国が春節に入る直前に高値を出し、その後に約1%程のセットバック。1月末の水準からは1%弱の値下がり。

短期的には、今年の干支である ひつじラベルのトップ・ブランド、シャトー・ムートン・ロートシルトがけん引した春節相場は、材料出尽くしとなったようだ。

それでもワイン市場の下げ止まり感はコンセンサスとなり、ワインコレクターやワイン投資家が市場に戻って来ているようで、底堅い推移となっている。

超がつくほどの富裕層が多いアメリカや中国、ワイン・コレクターが最も多いとされるイギリス、それらの国々での最近の株高やユーロ安が、ワイン市場のセンチメントに好影響を与えているとみられる。

最も市場で注目されているのが2005年ヴィンテージのボルドーワイン。今後パーカースコアなど、評価の上方修正が予想されており、現在の価格水準にはまだアンダーバリューの感があるようだ。

また、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2010年ヴィンテージが、非常に高い評価を受けたことから堅調な価格の推移となっている。

この春の2014年ヴィンテージのアン・プリムールに関しては、アメリカのバイヤー、中国のバイヤーともに興味を失っているようで、余程の魅力的な価格でない限り積極的には動かないと見られている。

それよりも、既に瓶詰めされて製品化されているワインで、割安感のあるものが注目されている様子だ。

 

先日、幕張で開催されているフーデックス・ジャパンに行ってきました。

フランス・コーナーでは、ボルドーのネゴシアンさんが、新しいワイン投資の王様ワインとも呼べる100ポイントワイン、「シャトー・オー・バイイ2009マグナム」を、表にど~んと飾ってありました。

そして、それを見た銀座あたりのナイト系な雰囲気のご婦人が、そんなワインを試飲させろと迫っておりました(汗)!

ネゴシアンが香港、中国だけでなく、日本にもついに注力し始めたことを感じたと同時に、「またバブリーな高級ワイン人気が日本に蘇りつつあるのかも!?」などと感じた次第です。

世界的な株高は、より厳選されたワイン・ブランドとヴィンテージのサポート役となるようです。

 

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

グランヴァン(ほとんどボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その41

 

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格は、ブラックマンデーすぐ後の1988年からインデックス・ベースで2011年6月まで約20倍に高騰。

ピーク時にはシャトー・ラフィット・ロートシルト2008ヴィンテージのボトルに、当時最大の販売先であった中国の繁栄の意味「八」を刻むとのニュースが伝わったことから、ラフィット2008が大きく買われグランヴァン市場の価格を一気に押し上げた。

その後は中国でのバブルの縮小と歩調を合わせるようにグランヴァン市場は値を下げ続けた。

グランヴァン市場のバブルは2011年6月をピークに崩壊したようです。今後は、「はたしてグランヴァン市場はバブル崩壊を乗り越えたのか?」みたいなことを酒屋のオヤジなりに推察したいと思います。今回はその41回目。

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【グランヴァン(ほとんどボルドー)・インデックスの2009年11月から2014年11月末までの推移】

11月末のインデックス価格は10月末と同じ水準で変わらず。

11月の高級ワインの業者間取引サイト Liv-ex では、シャトー・ムートン・ロートシルトのオフ・ヴィンテージが活発に取引された。2015年が「ひつじ年」なため、主にアジアからの買いが入ったと推測される。「ムートンならヴィンテージは気にしない、ムートンをできるだけ安く買いたい。」みたいな買いが活発だったようだ。

また、クリスマスが近づいていることからポート・ワインも買われた。

大きく値を上げたのは、パーカースコアが100点となったペサック・レオニャンのシャトー・オー・バイイ2009で、1ケース£1,125と約45%の上昇となった。

早々と市場で話題になっているのが、来年の春に行われる2014年ヴィンテージのアン・プリムール(ボルドーワインの先物契約)。

価格は下げ止まったが、この先のボルドーワインは、来年の2014年ヴィンテージのアン・プリムール次第との見方が、市場のコンセンサスとなっている様子。

シャトー側が大きくアン・プリムール価格を下げない場合には、さらなるボルドーワインの市況の悪化も予想されるのだとか。

もともとアン・プリムールの機能とは、シャトー側がビンに詰める前のワインを先物契約で販売して、早い段階で資金の回収を可能にする取引。対して購入する側は、リスクを取ってビン詰めする前に購入契約をするため、安く購入できるという双方にとってメリットのあるシステムだった。

それが、中国のワイン・バブルに翻弄され、また2009年、2010年ヴィンテージが当たり年となったことにより、シャトー側が大幅にアン・プリムールの価格を値上げ。その後の市場価格の値下がりに対応しなかったため、それまでの機能が働かなくなってしまったのでした。

中国のワイン・バブルは弾け去りました。そして、レッド・オブセッションのシーズン2は、ワインではなくサンゴ。中国での高級ワイン・バブルは我々の生きている間には、もう起こりそうもありません。

その結果、中国で最も人気の高かったシャトー・ラフィット・ロートシルトの2010年ヴィンテージなどは、アン・プリムールの価格をピークに、今では半値以下まで値下がり。

ボルドーのシャトーだけが大儲けして、ボルドーワインのネゴシアン(ボルドーワインの仲買)や、ワイン投資家には大損が発生したのでした。その後、高すぎるアン・プリムールに興味を示す人は少なく、実質、アン・プリムールは機能不全に陥ってしまったです。

少なくともボルドーのネゴシアンにとって、「この価格水準なら大損するようなことはないだろう!」と感じる水準まで、アン・プリムール価格の水準を下げる必要があると市場は感じているのです。

しかし、困ったことに2014年ヴィンテージは明らかに品質が良い。最近のヴィンテージでは、少なくとも2007、2008、2011、2012、2013よりも品質が明らかに良いのです。

シャトーの中には、「品質が良いにもかかわらず、アンプリムール価格を大きく下げるのはおかしい」と考えるところもあるでしょう。それに、他の高級ワインであるオーパスワンやロマネ・コンティに比べて、ボルドーワインは決して値段が高くないとも言えるわけです。

レッド・オブセッション(中国のバブル)がサンゴに移った今、2014年ヴィンテージのアン・プリムールでのシャトーの方針がはっきりとするまでは、高級ボルドーワインが大きく買い上げられるような状況ではないようです。

 

 

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

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