“ボルドーワイン”に関する記事一覧

グランヴァン(ほとんどボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その24

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたして「グランヴァン市場はバブルなのか?」もしそうなら、「今後そのバブルは崩壊するのか?」を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその24回目。

古ワインMay13

 

 

 

 

 

 

 

 

【グランヴァン(ほとんどボルドー)ワイン・インデックスの2008年7月から2013年5月末までの推移】

”上値を重くするグランヴァン市場の外部要因”

昨日の業者向け高級ワイン取引プラットフォーム Liv-ex での取引で、Chラフィット・ロートシルトのセカンドであるカリュアド・ド・ラフィット2004が4ケース、2009年11月以降の最安値で取引された。

取引価格は2010年12月に付けたピークの£3,330から47%安い、ケースあたり£1,750。それでもここ10年間のヴィンテージのカリュアド・ド・ラフィットの中では2004が最も高値にある。

売り物が出れば確実に値を下げそうな印象のグランヴァン市場です。

今週の新聞に「はじけた金バブル」の記事が一面に掲載されておりました。ワインと同じ実物資産を代表するゴールドから資金が流出しており、さらにはヘッジファンドなどが更なるゴールドの下落をにらんで先物市場で売りポジションを増加させているらしい。

約2年前に$1900を突破したゴールド価格は30%弱値下がりしたが、ヘッジファンド大手の運用者は「$500まで下がってもおかしくない」と専門TVなどでコメントしているとのこと。

また、グランヴァン市場に大きな影響を与えていた中国の、株の急落も新聞の一面記事となりました。一時はグランヴァン価格は中国株に連動すると言われたほどなのですが、グランヴァン市場への影響力も同時に急落したようです。

今回の中国株急落の原因となった、中国の影の金融システムや、銀行の資金繰りの悪化問題が直ぐに改善されるとは考えにくく、しばらくは中国からグランヴァン市場への影響力は影をひそめることになりそうだ。

以前にこのシリーズのブログで、典型的な株式市場の相場形成と、今回のグランヴァン市場の相場形成が似ているような気がすると書きました。

大型株(ボルドー)が人気となり、それがピークアウトすれば出遅れの割安株(ボルドーのセカンドワイン)などに循環買いが入る。その後は割高感の強いもの(ラフィット系)が大きく売られて行く展開はやっぱり典型的な株式市場の相場形成と似ているのかも知れません。

FRB議長が量的緩和の縮小計画を表明して、世界の金融市場の環境が大きく様変わりしたとされる「ポストFOMC」を境に、グランヴァン市場にも更なる急落のリスクが出てきたのかも知れません。

極めて希少価値の高いチューリップの球根以外は、いわゆるオランダのチューリップになってしまう可能性が出てきたと言うことでしょうか。

 

 

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ワインの飲みごろはいつ? それは10年後!?

お客様から

「ワインの飲みごろって いつ?」

という質問をよく 受けます。

ワインは 古ければ古いほど 良いと 思われている方も多く

「やはり 飲みごろが あるんですよ~。」

とお答えします。

でも その「飲みごろ」って いつなんでしょう?

そんな 疑問に 一つのアンサーを出している 造り手のワインを

今日は ご紹介しましょう。

2010年にフランスのワインワイン雑誌 「ル・ヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス」でマルクパスケ

10年経った 2000年ヴィンテージの ボルドーワインの比較試飲が

あったそうです。

194本のワインのなかで 「今 飲んでおいしいベスト5」の一つに

選ばれたワイン。

それが 今日 ご紹介する

「シャトー モンデジール ガザン ブライ」です。

この シャトーは、パリで写真家として活躍していた マルク・パスケが

1990年に立ちあげた 比較的新しいワイナリー。

けれども 20年経った今 彼の造るワインは

ミシュランの星付きレストランに オン・リストされるなど

フランス国内で非常に人気が高く、

評判がうなぎ昇り!なのです。

そんな マルク・パスケの ワインの熟成期間についてのコメントが下記。

↓  ↓  ↓  ↓  ↓

「果実の美味しさを楽しむなら10年の熟成くらいがちょうどよいと考えている。マルクパスケと畑

それ以上たつと、何か別のものになってしまう。

ワインに何を期待するかによるが、

自分の場合は 『果実味があること』。

それは 10年がリミットだと思う。

10年までは 良いティスターならば そのワインが

『モンデジール ガザン』 だと 判別できるが それ以上だと 難しい。

ワインは 古くなると みんな似てくるので 判別しづらくなる。」

 

という もの。

もちろん そんなコンセプトで ワイン造りを 彼がしているから

10年後 まさに 美味しく飲めるとも 言えますが・・・。

10年以上 経てたから 美味しさの ピークがくるワインもあるかと

思いますし、 2~3年後に ピークが来てしますワインもあるでしょう。

いずれにしても 造り手の思いが ワインに表れてくるとも

言えますね。

 

この シャトー・モンデジール・ガザンは 

フランスのボルドー地方のブライに位置し

ボルドーには珍しく オーガニック栽培に取り組んでいます。

良く手入れされた畑には 昆虫達が飛びかい、

近くの森に住む鳥達が 葡萄に害のある虫を食べてくれるため

殺虫剤をまくことも少ないとか。畑

そして 醸造においても 葡萄についている天然酵母で 発酵。

流行の人為的醸造方法は使わず、

畑の個性が表れた 自然な味わいを追求しています。

ちなみに

ボルドーワイン委員会主催の 2012年バリューボルドーにも選ばれています。

その冊子のティスティングコメントは

「~エネルギーに満ち溢れたアスリートのようなパワー~

濃厚なダークチェリーの色合い。樹皮のような香りに、黒胡椒、エスプレッソのスパイーシーさも。

タンニンはアグレッシブで、噛みしめるような味わい。

肉厚でふくよか。骨太な酸味と筋肉質な果実味を持ったアスリート的ワイン。」

これは 2009年ヴィンテージについてのコメントです。

2019年に この 2009年をティスティングしたら 

コメントは変るかもしれませんね。

 

今 当店で在庫しているものは 2008年。ガザン

次回の仕入れから 2009年。

2019年にこのヴィンテージを 手に入れるのは難しいですので

ぜひ ご自宅で寝かしてみてくださいね。

今日、ご紹介したワイン

「シャトー・モンデジール・ガザン AOC ブライ 2008」  3000円(税込)

 

 

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グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その18

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその18回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

1999年から2012年12月までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

2012年の高級ボルドーワイン価格は、1年を通して下落傾向で推移しました。

年初にはワイン、ゴールド、原油、株式市場と、ほぼ全ての市場が上昇に転じましたが長くは続きませんでした。3月に入るとそれらの価格は一転して調整ムードへと変化したのです。

その後、欧州債務危機や中国の経済成長の鈍化などの影響を受け値下がり傾向は続きました。ワイン市場ではワイン投資会社の倒産や、偽造ワインの流通なども価格下落に拍車をかけました。

ワインのオークションは売上高が減少、非常に希少価値の高いワイン以外は盛り上がりに欠ける状況でした。

夏以降はほぼ横ばいで推移。秋ごろにはダウンサイドへのトライも見られましたが、それも一次的で長続きしませんでした。11月に入ると中国新政権に対する期待感からか、ボルドーワインと価格の値動きが似ているとされる中国株の上昇と同調するようにボルドーワイン価格も上昇し、夏場から続く横ばいの水準まで値を戻したのでした。

 この上昇では高級ボルドーワインのオフ・ヴィンテージが主に買われた模様。

近年の高級ボルドーワイン価格の大幅な上昇をけん引した主導者は、金属や穀物などのコモディティと同じく中国と考えられます。今後また大きく高級ボルドーワイン価格が上昇するとすれば、中国の急激な景気回復でビリオネラーと呼ばれるような富裕層の数が大きく増加するような状況が訪れること意外にはないような気がします。

今までの富裕層による資産運用でのリスクヘッジでポートフォリオの一部としてワインを保有するとしても、ワイン相場がピークを付けた時に中国系が2008年ヴィンテージを買い上げたようなバイイングパワーには達しないとも想像されます。

 現在の中国系のワインの買い方は、メインの高級ボルドーワインではなく、供給量が少なく希少価値の高い右岸のボルドーやブルゴーニュ、イタリア、シャンパーニュ、カリフォルニアなどに移行しているとのこと。

また中国の新政権は、腐敗のイメージを拭い去るために酒離れの方向に動いている様子。政府関係でのワインの消費量は減少すると予想されます。

ちなみに中国人アーティストの描いたラベルを採用して話題となったムートン・ロスチャイルド2008は、2010年の12月にB to Bの取引で1ケース(12本)8,300ポンドで取引されていたが、このところは大きく値を下げ3,100ポンドと半値以下に値下がり。製品化される前の先物取引であるアン・プリムールで買い付けて製品をを引きとった業者やファンド、コレクター、投機家は全て大損か大きな含み損になっていることになります。

 近年の評価の高いヴィンテージ続きでワインファンドの資金とワインの比率は大きくワインに傾いていることも上値を重くしている一因と考えられます。

一般的には高級ワイン価格に関する悲観論は利害関係もあり書かれることがありませんが、高級ボルドーワイン価格の先行きに楽観視は禁物と考えます。

 

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ボルドー2012は、やわらかなタンニンと豊かな果実味!

ワイン専門誌「デキャンター.com」によれば、今年のボルドーワインは、やわらかなタンニンと熟した果実味が豊かな、高いポテンシャルを持つブドウが収穫されたとのこと。しかしそのポテンシャルを現実のものとするには、優れたワイン造りの腕が欠かせないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サンテ・ミリオンの有名ワイナリーオーナーは、今年のヴィンテージを”偉大な年の2000年に近い!”としている。2000年ヴィンテージと同じように、非常に難しい天候が続いた後、終盤に素晴らしいシーズンとなった。

しかし、惜しくも雨が予想よりも数日早く降ってしまったため、”偉大な・・・”とはならないかも知れないが、それでもとても良いヴィンテージなのだそうだ。

 また、ポムロールの有名ワイナリーは、今年のヴィンテージは低いタンニンと良く熟した豊かな果実味があり、高いポテンシャルがあるとしている。

「今年の収穫は長くてゆっくり進むと考えていたが、実際には短期間に長く働くことになった。」「最初のタンクのアルコールレベルは14%にもなり、タンニンがやわらかく、良く熟していた。」

「今年のヴィンテージは良く熟した果実味のフレーバーがあり、高いポテンシャルがある。」「収穫時に雨は降ったが8月、9月と素晴らしく乾燥した天候が良かった。」とのこと。

 サン・テステフの有名ワイナリーは、ワイン造りでのケアを怠らなければ良いビンテージになると予想。コールド・マセラシオンやタンニン、アルコール発酵が始まる前の抽出が大切なのだとか。

想像するに今年のボルドーワインが、やわらかなタンニンと豊かな果実味ということは、飲みやすい早くから楽しめる味わいになりそうということか!?アルコール度数の高めの果実味豊かなボリュームある味わいになりそうですね。

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グランヴァン(ボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?その13

グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその13回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

年初から2012年7月6日までの高級ボルドーワイン・インデックスの推移。

 高級ボルドーワイン・インデックスは引き続き一方的な右肩下がり。2011年6月末のピークからの下げ幅は33%に達している。

ブルーンバーグの記事によれば、2012年1月~6月の世界五大オークション・ハウスのワイン売上高は、前年同期比で25%の減少だったとのこと。香港での売上が世界最大なのは変化がなく、全売上の47%が香港から。次がニューヨーク、シカゴ、カリフォルニアからなるアメリカで35%、そしてヨーロッパが18%だった。

世界5大オークション・ハウス合計でのこの期間のワイン売上高は1億6千万ドル(約128億円)。関係者はボルドーワインの値下がりが影響しているとしている。ボルドーワインは流通量が多い分、経済情勢に影響されやすいことも手が出しにくい一因とのこと。

 2011年にラフィットをメインとするボルドーワインを、大きく積極的に買い上げた中国のワイン投資家たちは、流通量が多く経済情勢に影響されるボルドーワインよりも、流通量が極端に少ないブルゴーニュやカリフォルニアに注目しているのだそうだ。

 南ヨーロッパでの欧州債務危機はひとまず落ち着きを見せたものの、今後の債務危機は行きつくところまで行くのではないかとの予想も多い。もしそうなった場合、世界中にその影響は波及するわけで、当然ワイン市場にも影響が及ぶことになるわけです。

 今の高級ワイン市場の状況を株式市場に例えれば、大型主力株であるボルドーが下落し続ける中、小型品薄株であるブルゴーニュや他のカルトワインに資金が流れる状況は、正にひと相場の秋を迎えているとみることができるのかも知れません。

 半世紀ほど前の日本の伝説的相場師は「桐一葉落ちて天下の秋を知る」と、その時の相場状況を例えたのだそうですが、現在の高級ワイン市場は「天下の秋で、桐一葉落ちるを知る」といった状況でしょうか。

中国やロシアなどの新興国で、またビリオネラーが増加に向かうような状況になるまでは、グランヴァン市場の本格的な回復はなさそうです。

※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります

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